今回のロシアの突然のウクライナ武力侵攻には驚きを禁じ得なかった。
ロシア政府がどう説明しようとも、紛争解決手段としての武力行使には筆者は反対である。一日も早い停戦を望みたい。
筆者がロシアビジネスと関わった期間はプーチンが大統領に就任して現在に至る期間にほぼ重なる。
プーチンが表舞台に登場したのは1999年12月31日のことで、それ以来22年あまり、西側ビジネス筋のプーチンに対する評価は概ねポジティブなものであった。
その雰囲気がやや変わり始めたのは2014年のクリミア併合のあたりからである。
それでもクリミア、ドンバスは歴史的にロシアとつながりの深い地域であり、これらの地域への介入は目をつぶっておこうというスタンスであった。
もちろん、欧米諸国はこの時のロシアの行動に対しても経済制裁を課したのであるが、ロシアは輸入代替と通貨切り下げによる輸出競争力増によってこの制裁を乗り切ってしまった。
今回も、これだけ強気のプーチンのスタンスをみると、今回も西側の経済制裁を乗り切る秘策を持っているのかもしれない。
ウクライナのポテンシャル
筆者とウクライナのつながりはさほど深いものではない。
米シリコンバレーでウクライナ出身のアントレプレナーやベンチャーキャピタルと接点があったことから、2014年ユーロマイダン(2004年のオレンジ革命に次ぐウクライナの市民運動)の数か月後にIT関連のイベントに招待されてキエフを訪問したことがある。
ユーロマイダンから間もない時期であったが、ベンチャーの世界ではロシアとウクライナは敵対するものではなかったように記憶している。
実際、ロシアのITベンチャーでキエフに開発拠点を持ち、アフリカ数か国向けにSNSを開発している会社を訪問して感心した記憶がある。
ロシア、ウクライナのソフト開発能力、ロシアがソ連時代から有するアフリカとのコネクションをうまく活用したビジネスモデルであった。
他方、同年にはドンバスにあった投資先の企業がウクライナ政府と自治共和国との紛争で倒産、ではなく消滅する出来事もあった。