昨年12月31日、ミャンマーのカレン州コカレイで活動していた民主派が組織する国民防衛隊(PDF)のメンバー(写真:ロイター/アフロ)

 国際報道はロシアによるウクライナ侵攻一色となっているが、ミャンマーにおける軍と武装市民・少数民族武装勢力との戦闘も依然収束しておらず、むしろ一部では激化している。

 特に最近になって一般の市民生活の大きな脅威となっているのが大規模な停電だ。

 ミャンマーの反軍政の独立系メディア「ミッズィマ」などによると、中心都市ヤンゴンでは2月初旬以降、停電が頻発しており、ひどい時は1日約5時間も電力が停止する事態が続いているという。

 軍政によれば、停電の主な原因は、軍政に対抗するために市民が電気料金の支払いを拒否していることとしているが、同じヤンゴン市内でも、軍の基地や施設に隣接する地区では停電は頻発していない。こうしたことから停電は、軍政による意図的なものである可能性も指摘されている。

停電で市民生活に深刻なダメージ

 ヤンゴンで治安当局による追及・逮捕を逃れるために地下に潜伏しているジャーナリストによると、ヤンゴン市内の停電は多くの地区で1日7~8時間に及ぶこともあるという。だが軍の施設がある地区では停電は2日に1度、それも3時間程度となっており、地区により差が出ていると証言する。

 ミャンマーは3月から一年で最も暑くなる乾季に入り、雨季が始まる6月までは電力需要が非常に高くなる。このため今後も停電が続くようであれば市民生活に大きな影響が出ることが考えられる。エアコン、扇風機、冷蔵庫といった住居内の電気製品、あるいは病院の医療機器、銀行のATMなどの公共サービスへの電力供給が滞り、機能不全になる可能性がある。

 停電の原因を、市民らによる電気料金の支払い拒否にあるとする軍政は、市民に対して電気料金の速やかな支払いを求めている。

 企業の中には、停電による被害を軽減するために自家発電機を使用しているところもあるが、自家発に使用する燃料も高騰しており、「いつまで使えるかわからない」と懸念を表明している。