ブランド欲しさにオンライン賭博に手を出す若者

 10代の頃は特にそうだが、同じ年頃の集団文化は同調志向が強い。ソーシャルメディアで比較されることでも模倣心理が刺激される。すると、お金を盗みブランド品を買うという犯罪行為にまで手を染める者も出てくる。

 筆者は、韓国社会で社会問題になっている若者によるオンライン不法賭博について取材し、賭博に陥った若者のリポートを出版したことがある。若者が不法賭博をする理由の一つに、ブランド品欲しさがあった。

 学校に通い、制服を着用する若者は、制服に似合う高価な運動靴、洋服、好みのブランド品、例えばグッチの財布を所有するために、賭博したお金で購入するのだ。さらには、若者のロマンであり憧れの対象であるiPhone、AirPods、Apple Watch、Galaxy Watchなどの通信機器を自慢したいがために、若者が不法賭博をする世の中なのだ。

 韓国人の高級ブランド愛は、MZ世代を含め全年齢層にまたがる。このような風潮は、最近、新しい現象を生み出した。それは「オープンラン(Open-Run)」で、高級ブランド売り場のオープンに合わせて、先を争って走ることを指す。今では、人々がデパートの高級ブランド館の前で、列を作って待つ姿は見慣れた光景だ。

 これほどまでに大勢の人々が高級ブランドを購入しようとしている状況には、驚かざるを得ない。デパートの高級ブランド館で、バーゲンセールや限定販売の告知に接すれば、前日の夜、あるいは当日の早朝から待機する。

 ブランド品購入ブームは新しい“仕事”も作った。それは、列並びのアルバイトだ。

 購入代行業者を通じて仕事を受け、1時間当り1万ウォン~1万5000ウォン程度の相場となっている。競争が激しい高級ブランドでもシャネルやルイ・ヴィトンのような有名ブランドであれば、アルバイトで1回約10万ウォンを儲けられる。この仕事を専門にしている人の場合、週5回、出向くこともある。列並びのアルバイトは違法ではないので、会社員が副業として引き受けるということもよくある話だ。

 グローバル市場調査機関のユーロモニターインターナショナルによれば、昨年、韓国の高級ブランド市場規模は約16兆ウォンと、世界7位だった。高級ブランド市場は、1位が米国、次に中国、そして日本の順である。既に韓国人は、高級ブランド市場において世界トップ水準となっている。韓国人のブランド品に対する熱望は、ブランド品の包装紙袋まで、オンライン販売で取り引きされているほどである。