中国投資とビジョン・ファンドにも暗雲

 資産の側には、問題が生じている中国での投資や、昨年だけで239社もの新興企業に投資した2つのビジョン・ファンドへの投資も計上されている。

 難題を抱えた中国のハイテク大手アリババ集団は、かつてはSBGの投資戦略の要(かなめ)であり、NAVの60%を占めていた。

 ところが今、SBGはアリババを刑務所釈放カードのように扱い、リスクのある事業への投資資金を捻出するために、少しずつ持ち株を売っている。

 今ではNAVに占める割合が24%に縮小した。2月7日には、SBGが持ち株をさらに削減するとの不安からアリババ株が6%も値を下げた。

 SBGにとって、アリババの重要性は今、NAVのほぼ半分を占める2本のビジョン・ファンドに抜かれた。

 ビジョン・ファンドはどちらも10~12月期にその価値を若干高めた。未上場企業の評価額上昇が主な要因だ。

 しかし、SBGが上場させた企業の株価急落が何らかの参考になるとすれば、IPO前の企業の評価額が伸び悩んだり、場合によっては低下したりし始めるのも時間の問題かもしれない。

 SBGの債務も懸念材料だ。

 同社によれば12月末時点のLTVは22%で、その3カ月前の19%より高まった。平時なら25%が妥当だと同社は見ている。

 しかし、この比率をより保守的に計算し、SBGが計算から除外しているマージンローン(証券担保ローン)や投資コミットメント、自社株買いといった負債を含める人もいる。

 財務分析会社ブルームバーグ・インテリジェンスのシャロン・チェン氏は、自分の計測では、SBGのLTVは40%に近づいていると話している。

 この40%とは、格付け会社S&Pグローバルが債務格付け引き下げのきっかけになり得ると表明した水準だ(もっとも、アームの上場計画が圧力を緩和する可能性もある)。

 債務残高削減のためにアリババ株をさらに売却することもできるが、実行されればSBGのポートフォリオの質が低下するかもしれない。

 これもまた、格付け会社にとっての警告サインだ。