イギリスの情報機関関係者によれば、ロシア情報機関の関係者が、親ロシアであるウクライナの元副首相ら数名に接触しており、現政権転覆後の体制づくりについて話をしているという。

 もちろん、イギリスからこうしたタイミングで出てくる情報もまた情報工作の可能性がある。ロシアの外務省は直ちに公式ツイッターで、「英外務省は、ナンセンスな話を拡散させるのを止めたほうがいい」「アングロサクソンが率いるNATOこそがウクライナ情勢を緊張させている」とやり返した。

見透かされるロシアの「偽旗作戦」

 こうした工作は、水面下でももちろん繰り広げられている。

 例えば、ロシアの工作員は、ロシア部隊を挑発する準備のためにウクライナ入りしている。ウクライナ側が先にロシア部隊に手を出したかのように見せることで、ロシアのウクライナ侵攻を正当化しようというのだ。

 実際に、ウクライナ国防相はロシア軍の作戦部隊がそうした工作に乗り出している情報を掴んでいると明らかにしている。

 筆者がアメリカの元情報関係者に、ロシア側による「偽旗作戦」の効果を聞いてみたところ、こんな分析を披露してくれた。

「ウクライナ侵攻を正当化するため、ロシアは、ウクライナからロシア側のインフラ施設へ何らかの攻撃が起きたとでっち上げたり、感情的な反応を引き出せる学校などへの攻撃も辞さない可能性がある。また最悪の場合だが、生物化学兵器による攻撃や、民間機の撃墜などの可能性も排除できない」