新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の世界的な蔓延により、私たちの暮らしは大きく変わった。予想できない未来に対し、大きな不安を抱える社会。日本を含めてその出口は未だ見えていない。
そんな中、対策の重要な指針となっているのがデータだ。中でも慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室の宮田裕章教授は、データサイエンティストとして科学とテクノロジーをつなぎ、さらには医療領域への応用にも貢献している。
そこで本稿では、著書『おいしい経済』において、日本ならではの食文化を世界へ発信しようと提案する楠本修二郎氏との対談を通じ、これからの日本社会がどうなっていくのか、そこにデータがどう活かされていくのかなどあるべき未来の姿について存分に語っていただいた。
日本の食文化が秘める可能性
――楠本さんの著書『おいしい経済』には、宮田さんの発言として「日本の食文化はルネサンスに匹敵するぐらいの文化になっている」と掲載されています。その真意について教えていただけますか?
宮田:現代において、日本に住んでいることの最大の価値は食だと思います。日本には世界に誇ることのできる様々な文化がありますが、とくに食文化に関しては世界のトップ・オブ・トップスでもある日本の料理人たちの研鑽によって磨きあげられています。日本がミシュランの星の数をもっとも多く保有する国であることにも象徴されていますよね。