トンガ支援に向かうニュージーランド海軍の艦艇

(北村 淳:軍事社会学者)

 かつて世界各地で大規模自然災害が発生すると、必ずやアメリカ軍が外国からの支援部隊として先陣を切って姿を見せていた。

 東日本大震災における「トモダチ作戦」でのアメリカ軍の支援は日本国民の記憶に新しい。毎年のように発生する東南アジア諸国での大洪水や台風被害の現場には、常に米軍災害救助復興支援部隊の姿が目についたものだ。2004年末のスマトラ沖地震での大津波災害に際しては、中東での任務を終えて日本に向かっていた海上自衛隊軍艦に先陣を譲ってしまったことを、米海軍関係者たちは悔しがっていた。

 アメリカは第2次世界大戦以降も継続的に世界各地での軍事紛争に軍隊を投入し続けている。その先鋒を務めることの多い海兵隊では、「アメリカの緊急展開戦力としての海兵隊は間断なく戦闘に従事してきたが、戦闘だけでなく『HADR』(人道支援災害救援作戦)にもアメリカの先鋒として活躍し続けてきた。海兵隊は、戦闘によって殺害した敵よりも、HADRによって救った人々の数のほうがはるかに多いことを誇りにしている」と胸を張っていた。

 ところがそのアメリカ軍に“異変”が起きている。