(英エコノミスト誌 2020年1月22日号)
新型コロナのロックダウンと企業の取り締まりが経済に打撃を与えている。
2月4日に幕を開ける北京冬季五輪で採用されているカーリングで、中国はあまり成功を収めていない。
しかし、中国の経済政策当局はこの難解な競技からひらめきを得られるかもしれない。
カーリングの選手と同様に、当局者は難しい的を狙わねばならない。当局は2022年に5%以上の経済成長の達成を目指していると思われているが、その眼前には新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の脅威が立ちはだかる。
この変異型はすでに7つの省と上海、天津といった大都市に姿を現しており、1月15日には北京でも感染者が初めて報告された。
似ている点はそれだけではない。
カーリングの選手は「ストーン」(アイスホッケーのパックを大きくしたような物)を氷の上に置き、的に届くように力を込めて滑らせなければならないが、力を入れすぎて氷から飛び出すことがあってはならない。
中国の政策当局も同じように、微妙なバランスを取る必要がある。
年率5%の成長ができるように減速中の景気を刺激しつつ、その限度を超えてインフレや投機を助長することがないようにしなければならない。
見かけの数字は堅調だが・・・
1月17日発表の統計によれば、中国の2021年の国内総生産(GDP)成長率は8.1%で、2011年以来の高い値になった。インフレを考慮する前の「名目」GDPはさらに急速に成長し、約12.6%だった。
同年には中国通貨の人民元も上昇したため、市場為替レートで米ドルに換算したGDPは17兆7000億ドルとなり、前年比の成長率が20%に達している。
こうした数字から判断するなら、中国経済には申し分のない勢いがついているように見える。
だが、中国の景気は2020年前半にパンデミックで相当悪化していたため、翌年の景気が前年との比較で極端に好調に見えることは最初から分かっていた。
実際、成長率は2021年に時が経つにつれて次第に縮小していった(下図参照)。