支給されても使わずにタンスの肥やしになっている場合が多い「アベノマスク」(写真:YUTAKA/アフロ)

 新型コロナウイルスのオミクロン株が広がる危惧はあったが、1年前の年末年始とは全く異なる風景の令和4年の年明けとなった。

 観光地や商店街の至る所から、昨年同期比で100%オーバーは言うに及ばず、数字に表せない(数百%)など、満腔の声が聞かれた。

 日本は過去2年間、新型コロナ感染問題を大騒ぎしてきたが、世界を眺めると、日本の感染症対策は最上部に入るのではないだろうか。

 風土や国民性の違いから容易ではないが、日本はこれまでに得た感染症対策の知見をWHO(世界保健機関)を通して流布し、あるいは各国各地に散在するNGOやNPOを督励して、積極的な普及に努力してはいかがであろうか。

 打つ手がないと思われて困惑しているときほど、ちょっとした行為が命を救う慈雨となる。その有難味は、国家を挙げて宣伝する以上に該国民に「made in Japan」として浸透していく。

 慈雨の一つに昨年後半から騒ぎ始められたアベノマスク(揶揄として通称化された用語であるが、分かりやすいので使用する)を加えてはどうだろうか。

アベノマスクに恩義はないか

 令和2年の初めから、新型コロナウイルス感染症が急激に広まる。

 それを前にして、マスクや消毒薬、防護衣などの関連商品のほとんどを中国が世界中から買い集めていた事実が判明した。

 日本においてはダイヤモンド・プリンセス号内での感染状況が毎日大々的に報道された。国民は何とかマスクだけでも手に入れようとするが、日本の在庫も底をついていた。

「マスクは有りません」「いつマスクが入荷するか分かりません」などの張り紙を至る所で目にした。

 医療関係の部署でもマスクが足りない、防護衣も消毒液も少ないと報道されるようになってくる。