毎日平均で400人以上が上陸している竹島。この状況を招いた責任は日本にもある(写真:Topic Images/アフロ)

 1965年の日韓請求権協定以降、30年以上、日本と韓国は竹島に関して、事実上「未解決保留」という原則を守ってきた。実効支配しているのは韓国であり、このような「未解決保留」状態が続いているということは、実際は日本に対する「判定勝ち」であり、「竹島の完全所有」と違わない、有利な状況と見ることができる。ところが、この有利な状況を韓国自身が先に蹴飛ばした。今では毎日平均で400人以上が竹島に上陸している。この状況を覆すにはどうすればいいのか。韓国における保守派論客として知られるファンドビルダー氏の論考(前編)。

(ファンドビルダー:韓国コラムニスト)

 2021年11月24日、米政府(国務省)は、韓国の与党(ともに民主党)代表が竹島に関して米国に不満を表明したことに、こう答えた。

「米国は、リアンクル暗礁の領有権に関しては、どんな立場も取らない」

 米国は以前から、「リアンクル暗礁」という表現を使い続けている。「リアンクル」とは、1849年に竹島を発見したフランスの捕鯨船「リアンクル号」から取った名称だ。米国は、韓国式表現の「独島」という名称を拒否することで、該当地域が紛争状態にあるということを明らかにしたのだ。

 韓国の与党代表が、11月19日に米国に向かって表明した不満は、以下のような内容だった。

「第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和会議で、米国が日本サイドに偏った立場を取ったため、独島と関連した紛争の種を蒔いた。したがって、責任は米国にある。この領有権紛争問題が武力によって展開する場合、独島は当然、米韓相互防衛条約の適用を受ける領土に含まれなければならない」

 すなわち、米国が1951年のサンフランシスコ講和会議で韓国に配慮しなかったために、今日、日本が領有権主張をすることになった。もし領有権に関連して、日韓間で武力衝突が発生するような場合、米国は米韓相互防衛条約に基づき、日本を攻撃しなければならないという話だ。このような非常識で自己中心的な韓国の主張に、米政府は本当に情けない思いをしたことだろう。

 1965年の日韓請求権協定以降、30年以上、日本と韓国は竹島に関して、事実上「未解決保留」という原則を守ってきた。「現状を維持し、互いに領有権主張をすることを許容する」という暗黙の合意であった。実効支配しているのは韓国であり、このような「未解決保留」状態が続いているということは、実際は日本に対する「判定勝ち」であり、「竹島の完全所有」と違わない、有利な状況であると見ることができる。

 ところが、こういう有利な状況を、韓国自身が先に蹴とばしてしまった。1997年に、金泳三大統領が竹島に船舶接岸施設と防波堤を建設することで、「現状維持」という暗黙的合意を破ったのだ。これを契機に、日韓間の領有権紛争は、本格的に幕を上げることになった。

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