日本製品の不買運動を展開した韓国だが、韓国企業の売り込みには余念がない(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 韓国KOTRA(大韓貿易投資振興公社)は12月7日、日本素材、部品、装備市場への進出を希望する韓国企業を支援するため、大阪にGPセンター(Global Partnering Center)を開設したことを明らかにした。この団体は、神戸市が募集しているデジタル化専門官の求人広告に、神戸市が「国籍不問」としていた部分を「韓国籍限定」と書き換えて掲載し、日本のインターネット上で物議を醸している。神戸市は国籍にかかわらず優秀な人材を採用するために、KOTRA大阪貿易館に求人情報の掲載を依頼したという。

 日本にはKOTRAという韓国の団体をご存じでない方も多くいると思うので、ここでこの団体についてご紹介したいと思う。

 KOTRAとは、韓国企業が海外の現地企業とパートナーシップを結び、より安定的にグローバル・バリューチェーンに参入できるよう支援する団体で、いわばJETRO(日本貿易振興機構)の韓国版である。日本には名古屋、大阪、東京、福岡と主要都市にはKOTRAの海外貿易館が設置されている。グローバルでは、84カ国に10カ所の地域本部、127カ所の海外貿易館が置かれている。

 KOTRAが今回大阪に開設したGPセンターは、海外に拠点を置く韓国企業に対して現地市場の情報提供の他、執務スペースやマーケティングおよび営業支援などの提供を目的としており、日本では名古屋に次いで2カ所目の開設となる。大阪GPセンターは西日本地域の主力産業である電力、鉄道車両、造船、機械分野に特化し、韓国企業のバリューチェーン参入需要を発掘する予定だそうだ。

 KOTRAは、韓国企業の日本進出を大々的にバックアップしている。筆者が本業として勤める韓国企業にも定期的にKOTRAから案内が届くが、12月10日に届いたメールには「[KOTRA/現代] 日本“デジタルマーケティング”の最新トレンド – 第2期日本地域課程(非対面)」というタイトルがつけられていた。2022年に日本進出を成功させるためのマーケティングセミナーを12月14日にオンラインで開催するとのことだ。

 余談ではあるが、タイトルにある「現代」とは韓国の大手財閥グループのことだ。現代自動車は来年、日本市場に再進出することを検討している。2010年に日本市場から完全撤退した背景があるから、主催者である現代グループにとっても日本進出マーケティングはさぞかし重要であろう。