「日韓共同宣言をモデルに」というが本当に中身を知っているのか

 その一方で、李在明氏は、「小渕・金大中宣言をモデルとして日韓関係を修復したい」と口にしている。これなどは、日韓共同宣言の内容を理解しているのか疑いたくなる発言だ。

 日韓の文化交流を促進し、その後の両国の友好ムード醸成に寄与した日韓共同宣言は、1998年に小渕恵三首相と金大中大統領(ともに当時)によって署名された。その際に来日した金大中大統領は、参議院本会議場でこう演説した。

「第二次世界大戦後、日本は変わりました。日本国民は汗と涙を流して、議会民主主義の発展と共に、世界が驚く経済成長を遂げました」

「人類史上初めて原爆の被害を体験した日本国民は、常に平和憲法を守り非核平和主義の原則を固守してこられました」

「私は戦後の日本国民と指導者たちが注いだ、血のにじむような努力に深い敬意を表する次第であります」

 それに対して李在明氏の日本観は、未だ日本は戦前と同様の軍国主義国家というものである。これでは「小渕・金大中宣言をモデルにした関係修復」など成り立つわけがない。李氏はそれを理解していないのだろうか。

 李在明氏は、日本の「右翼政界」に対する批判を続けている。外信記者クラブにおける懇談会でも「現実的に権限を持っている政治勢力が具体的にどのような考えをしているかという点でみるなら、特定の時期には(韓国を侵攻した)大陸進出の欲望が一瞬かすめる時もある」として警戒する必要性を語っている。

「右翼政界」とはこの発言を報じた中央日報が使ったワードだが、いわゆる極右勢力ではなく自民党政権を指したものだろう。李在明氏の胸の内でも、自民党や自民党所属の政治家に対する敵愾心は相当強いようだ。