現在、地球温暖化が大きな問題になっています。二酸化炭素濃度の上昇を主要因として、今後100年間で気温が4度上昇する可能性があるとの分析もあります(参考:国土交通白書平成19年度版 https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/hakusho/h20/pdf/jp110000.pdf)。実際にそうなれば、海面は大幅に上昇し、多くの都市が水没してしまうことになるのではないでしょうか。
ただ、長いスパンで地球の歴史を眺めてみれば、気温は温暖になったり寒冷になったりと大きな変化を繰り返してきました。たとえば恐竜がもっとも栄えたジュラ紀(2億年前から1億4000万年前頃)の平均気温は、現在よりも10度以上高かったようです。ですので、2100年までの気温上昇があったとしても、ジュラ紀と比較すれば、現代の地球の平均気温はまだ低いと言うことも可能なのです。
このように、気候は大きく変動してきました。そしてそれは人類の歴史を大きく動かす要因にもなってきました。
ここでは、大航海時代を事例として論じてみたいと思います。
中世温暖期にヨーロッパの人口が増加
恐竜の時代まで遡るまでもなく、人類が地球に誕生してからも地球の気温は大きく変化してきました。9世紀から13世紀にかけては世界各地で気温が上昇しました。この時期を、「中世温暖期」と呼ぶこともあります。この時代は、それまで耕作に適していなかった高地までが農地として利用されるようになりました。そして温暖な気候と農業生産性の増大により、ヨーロッパの人口は急激に増えていったのです。
ところが、ある時から一転して地球は寒冷化に向かいます。
大航海時代の開始がいつであったのかということは意見が分かれるところですが、1492年にコロンブスが新世界を「発見」し、1498年にヴァスコ・ダ・ガマがインドに到達した頃には、すでに始まっていたと言えるでしょう。これ以降、ヨーロッパは、世界中に船を派遣することになります。
では、ヨーロッパの国々はそもそも何を求めて海原に飛び出していったのでしょうか。