衆院が解散され総選挙に突入した日本。各党党首の論戦が始まっている(写真:新華社/アフロ)

(山中 俊之:著述家/芸術文化観光専門職大学教授)

 10月14日午後、衆議院が解散した。既に総選挙に突入し、各党党首の論戦が始まっている。もっとも、論戦のテーマはあくまでも国内イシューが中心で、日本の総選挙、参議院選挙では争点にならない(なりにくい)3つの世界的大テーマがあるように思う。

 1つ目は、移民・難民問題だ。
 
 米国でも、欧州でも、押し寄せる移民や難民をどの程度受け入れ、どう対応するのかという問題は、国民や政治家にとって国論を二分する大きな課題である。移民問題への対応を間違えると、政治生命すら危うくなる。

 日本の場合、移民(外国人労働者)や難民申請者の数は決して少なくないが、国民も、政治家も関心が薄い。

 移民については、永住する人は少ないであろうと思っているためか、受け入れの可否について論戦を戦わすことが少ない。難民に至っては、政治家の人道的な動機が弱く、議論になりにくい(一部の政治家は関心を持っているが)。

 なお、念のために確認をさせていただくと、移民と難民は大きく違う概念である。移民は主として経済的理由で国境等を超えて移動する人々であり、移民の入国や滞在は受け入れ国の裁量による。

 一方、難民は「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた人々」(難民の地位に関する条約)であり、認定された場合、各国政府は受け入れて庇護する義務を負うことになる。日本は難民の受け入れ数が少ないことで国際社会から批判を浴びている。

 2つ目が、死刑の存廃である。