あの有名アーティストのご先祖とはご近所同士

 このうち旧「岸田呉服店」は交差点に面した角地に位置しており、現在は1階がベーカリー、2階がレストランに。隣接する旧「岸田喫茶部」はかつて有名書店だったが現在は休業中で、地元当局による再生案が練られているといい、市中心部で歴史的景観整備を進める林右昌市長は地元メディアに対し「このような縁があることは非常に光栄」だとして、日本との交流深化に期待を寄せている。

Googleマップで確認できる基隆市の旧「岸田呉服店」建物。左は旧「岸田喫茶部」(マップデータ©2021Google)

 このニュースへの反応は意外なところからも起こった。

 実父が台湾屈指の名家、基隆顔家の出身である女優で歯科医師、エッセイストの一青妙さん(歌手・作詞家である一青窈さんの実姉)も、こうした報道に触れたことから、自宅にある昭和4(1929)年の「大日本職業別明細図」を確認したところ、なんと実父の実家「義和商行」「雲泉商会」とは当時の郡役所、警察署を挟んでごく近所だったことを知り、SNSやネット上の自身のエッセイ・ブログなどで紹介した。

 一青妙さんは「祖父や祖母は着物も着ていたので顔家と交流があったのかしら・・・」と推測しつつ、通常の観光旅行が再開されるころには、「『日本・岸田総理所縁の地』の看板が出ていたりして・・・」などと、新名所の誕生を喜んでいる。

一青妙さんのブログより(https://hitototae.com/essay/5905)