フィリピンのドゥテルテ大統領(写真:ロイター/アフロ)

 2022年5月に実施される予定のフィリピン大統領選に、現職のドゥテルテ大統領が「副大統領候補」として出馬することが確実となった。9月8日に党大会を開催した最大与党「PDPラバン」がドゥテルテ大統領を副大統領候補として指名し、ドゥテルテ大統領がそれを受諾したことで、党の正式な立候補者となったのだ。

 ただドゥテルテ大統領が自分の後継者と考えていた側近のボン・ゴー上院議員は、党による大統領候補指名を辞退する意向を示している。大統領候補の決定にはまだ紆余曲折がありそうだ。

 フィリピンは憲法で大統領職は1期6年と規定されているため、ドゥテルテ大統領は大統領候補として出馬することはできない。ただ、副大統領候補としての出馬には問題がなく、当選すれば2期まで務めることが可能だ。

 フィリピンでは正副大統領はそれぞれ独自に投票を行い、最高得票獲得者がそれぞれ正副大統領に就任する。このため前回2016年5月の選挙では大統領にドゥテルテ氏が当選したのに対し、副大統領には野党「自由党」のレニー・ロブレド氏が当選を果たし、結果として与野党のバランスが取れた布陣となった経緯がある。

「愛国心から受諾」とドゥテルテ大統領

 PDPラバンは8日、ルソン島中部のパンパンガ州サンフェルナンド市で開催した全国党大会で、副大統領候補としてドゥテルテ大統領、大統領候補としてボン・ゴー上院議員の指名を決めた。

 ドゥテルテ大統領は直ちにその指名を受諾するとともに「受諾の決意は、野望というより愛国心に基づくものである」と私欲に基づくものでないことを強調した。というのも、大統領の再選が禁じられているため、ドゥテルテ大統領は今度は副大統領として今後も政権に影響力を残そうとしているのだという見方が根強くあるからだ。

「副大統領としての出馬はこれまで(大統領として)行ってきたことを継続してほしいからであり、(新政権で大統領に)指示を与えることにはならないかもしれないが、助けにはなる可能性はある。引き続き国民に奉仕することでフィリピンのさらなる発展に貢献したい」

 ドゥテルテ大統領はこう述べて、あくまで助言者の立場で国民と国家に奉仕すると強調したのだった。