習近平主席の肝煎りで、9月2日から7日まで「中国国際サービス貿易交易会」が、北京で開かれた。昨年年初から続くコロナ禍で、製造業に較べて回復が遅れているサービス業をV字回復させる「起爆剤」にしようと、首都で開いた国家プロジェクトだった。
中国の政権幹部が突如連呼しだした「食糧安全保障」
その中で、普段は目立たない、ある習近平政権幹部のスピーチが、関係者の間で話題になった。5日に会場で行われた「2021年食糧現代サプライチェーン発展及び投資国際フォーラム」で、中国国家食糧・物資備蓄局の張務鋒(ちょう・むほう)局長が行ったスピーチだ。
張局長は、こう述べた。
「中国は国家の食糧安全保障を、国家の大事、それも一丁目一番地としている。中国は、全世界の9%の耕地、6%の淡水資源での生産食糧でもって、世界の20%近い人口を支えていかねばならないのだ。
国連は、2030年までの持続的な発展の貧困減少目標を定めているが、中国はそれを10年先駆けて実現した。それは空腹に喘(あえ)ぐ時代が去り、衣食満ち足りた時代を実現したということだ。腹一杯にならない時代から、腹一杯になり、かつおいしいものを食べる時代へという歴史的に重大な変転だ。
世界のコロナの状況の起伏は定まらず、世界経済の復興はいまだ困難だ。そのような形勢下で、食糧安保が注目されている。(食糧の)サプライチェーンの安定が重要になってきているのだ。
中国は新発展段階に入っており、発展と安全を統合している。新たな局面の中で、より高いクラスで、より高いレベルで、より効率的で、より持続可能な国家の食糧安全保障システムを急ぎ構築していく。今後は国内に軸足を持つことを堅持しながら、堅牢で強靭な食糧サプライチェーンを基礎に、国家の食糧安全戦略を全力で実施していく。『津々浦々までの食糧備蓄』を全面的に定着させていく。穀物の基本的な自給を確保し、食糧を絶対的に安全にする。食糧安全の主導権を着実に握り、14億中国人の食事をしっかり自己の手中に収めていく。
中国は今後、強靭な食糧サプライチェーンを確保していくにあたって、重要な時期を迎える。良質な食糧供給を深く推進し、技術の創新・産品の創新・装備の創新・モデルの創新を推進し、インターネット・ビッグデータ・AIなど新世代の情報技術と食糧産業を深くつなげることを急ぎ推進し、食糧安全保障の作用を十分に創新していく。
食糧安全保障の立法化を急ぎ進め、デジタル化された食糧監督管理システムを作り、食糧流通の法律執行行動をうまく取り行えるようにする。ゼロ容認で、カバー能力を強め、大国の食糧備蓄を固く守り抜いていく。