カブールから「スクープ」を連発する中国CCTVの通信員(中国中央電視台[CCTV]公式サイトより)

 アメリカ軍のアフガニスタン撤退まで残り1日となった8月30日、中国のCCTV(中国中央広播電視総台)の朝のメインニュース『朝聞天下』が、カブール発の「スクープ映像」を放映した。

 このところCCTVには、あの「アルカイダ」の故オサマ・ビンラディン師と瓜二つの顔をした男が、連日登場する。CCTVのカブール通信員である彼は、毎日カブール市内を彷徨(取材)しては、スクープ映像を録ってくる。そして流暢な英語で、北京のスタジオに向かって、レポートを続けているのだ。

「米軍に撃たれた」「催涙ガスで多数の死人」の証言

 8月29日には、ついにカブール空港近くの病院に進入(取材)した。その3日前の26日午後5時頃(現地時間)、カブール空港近くで起こった爆破テロの負傷者たちが入院している病院だ。

 米CNNの報道によれば、この爆破テロはIS(イスラム国)の残党組織による犯行で、アメリカ兵13人を含む170人以上が死亡して、200人以上が負傷した。アメリカ時間の29日には、ジョー・バイデン米大統領が、デラウエア州のドーバー空軍基地に出向いて、カブールから「無言の帰還」をした13人のアメリカ軍兵士の棺(ひつぎ)を出迎えている。

8月29日、カブール空港付近で起きた自爆テロで犠牲なった米兵の遺体を出迎えるバイデン大統領(中央)とブリンケン国務長官(左)(写真:AP/アフロ)

 CCTVの「スクープ映像」だが、この「ビンラディン師」ソックリのCCTV通信員は、4人のアフガニスタン人の男性入院患者にマイクを向け、話を聞いたのだ。1人目の上半身裸で横たわる青年は、こう述べた。

「私は、爆破テロによっては傷つかなかった。私たちは、アメリカ軍によって撃たれたのだ。私は手を撃たれた。ここが撃たれた箇所だ」

 男はそう言って、包帯を巻いた左手の手首を、右手で指し示した。その後、左胸を掠めたことも示した。

カブールの病院でCCTVの取材に応じる負傷した青年(中国中央電視台[CCTV]公式サイトより)

「後方で何が起こっていたのかという事情は、よく覚えていない。だが、(ISが起こした爆発の)死傷者は、それほど多くなかった。

(爆発後に)アメリカ軍が、一斉射撃を始めた。同時に、催涙ガスを使い始めた。それによって、大量の死者が出たのだ」

 驚くべき証言である。