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(浅野 貴昭:住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト)
「超党派合意は過去の遺物だと言われたが、私はそんな言葉は信じなかった」
米バイデン大統領はメディアの前で誇らしげに語った。8月10日に、米上院にて懸案の法案が可決され、政権が掲げるインフラ整備計画が大きく前進したことを受けての発言だ。投票結果は賛成69票、反対30票。共和党からも19名が賛成し、バイデン大統領が、かねてから訴えてきた通り、党派対立を乗り越えての合意となった。
インフラ整備計画は総額1.2兆ドル、道路、橋梁、港湾などの建設や修復に充てられる。米土木学会によれば、今後10年間の米国のインフラ需要は約6兆ドル。予算手当が見込まれるものを除いても、2.6兆ドルが不足しているとのことで、今回の超党派案でもまだ足りない。
しかし、オバマ政権下で成立したインフラ投資が481億ドルで、2009年当時、「これは1950年代に全米高速道路網が整備されて以来の大インフラ投資だ」と喧伝されたことに鑑みれば、「一世代に一度の投資」だというバイデン大統領の言葉もあながち誇張ではない。
バイデン政権が発足して半年以上が経つが、世論調査によれば、バイデン大統領は不正選挙によって誕生した大統領だ、と信じる米国民は33%、共和党員に限れば実に66%に上る。これだけ厳しい党派分断の下、今回の超党派合意はなぜ実現したのか。
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