日本からの観光客が激減したハワイ(写真:Charmian Vistaunet/アフロ)

 日本政府は、東京都への緊急事態宣言を9月12日まで延期した8月16日、海外からの入国者数の上限を2000人から3500人に引き上げた。同時に、全日空(ANA)と日本航空(JAL)は1週間あたりの搭乗者数を1社あたり3400人から6100人に増やしている。海外在住者の帰国を容易にするための措置だ。

 その一方、国内がコロナ禍と集中豪雨の被害で大混乱になった8月9日と13日、ANAの大型旅客機A380(520人乗り)が約500日振りにハワイに飛んだ。同機の輸送旅客数は、これまでのB787(246人乗り)から見てほぼ倍増だ。

 日本政府は、国内での県境を越えた移動など人流の削減を求める締め付けを強化する一方、海外から入国に関する水際対策を緩和したこととなる。

 ハワイは、既に日本の厚労省が認定した新型コロナウイルス感染症の拡散増幅検査が同州の「事前検査プログラム」対応に合致する検査と認めているため、日本からの渡航者が拡散増幅検査を受け、ハワイ州保険局認定の英語陰性証明書を持参すれば、入国後の14日間の隔離措置が不要になる。

 日本への帰国後の14日間の自粛を受け入れるならば、夏休み後半からのハワイ旅行が容易になったということだ。

 コロナとは全くの別の話題だが、海外からの入国者数の上限を引き上げた8月16日(現地時間)、首都カブールを陥落させたタリバンはアフガニスタン全土を手中に収め、20年振りの政権奪還を実現した。

 ドイツが反タリバンの指針を示すなど欧州各国がアフガニスタン情勢への対応を協議し始める一方、バイデン大統領はわざわざ記者会見を開き、8月末までの米軍の撤退を予定通り進めると確認している。

 日本とアフガニスタンで起きている動きに、相互の関係はないように見える。だが、この2つの動きはバイデン政権の外交の特徴を示しているように思えるので、ここで簡単に敷衍しておきたい。