アフガニスタン問題のイニシアチブを取ろうとしている英国のジョンソン首相(写真:AP/アフロ)

 中央アジアのアフガニスタンの情勢が混乱していることを受けて、英国が積極的な外交を展開している。イスラム主義組織タリバンによって首都カブールが陥落した8月15日、英国のジョンソン首相は北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と電話協議し、最高意思決定機関である北大西洋理事会の早期開催を提案した。

 また、ジョンソン首相は8月16日にフランスのマクロン大統領と、17日には米国のバイデン大統領と電話で会談。22日週にもオンラインで自らが議長国である先進7カ国(G7)首脳会議を開催し、アフガニスタン問題を協議することで合意に達した。ジョンソン首相は、国連に対して安全保障理事会の早期の開催も要請している。

 基本的人権や民主主義といった価値観を共有する先進国にとって、選挙ではなく武力でアフガニスタンの権力を掌握したタリバンの正統性を容認することなどできない。国外に脱出したガニ大統領に協力的であった人々に対してタリバンが危害を加える事態も予想されることから、先進国はいち早く何らかの手立てを採る必要がある。

 先進国をはじめとする国際社会が、このアフガニスタンの問題に対していち早く協調体制を採る必要があることには間違いない。しかし、そのイニシアチブを、いったいなぜ英国が取ろうとしているのだろうか。G7の議長国としての責務がないわけではないだろうが、その裏にはジョンソン首相が抱くよりしたたかな思惑があると考えられる。