新型コロナウイルスのワクチン接種で、様々な副反応が出、虚実取り交ぜて様々な情報が飛び交っています。
主要な副反応としては「発熱」「接種部位の腫脹」「頭痛」「倦怠感」などが挙げられますが、大半は2~3日の安静で軽快が報告されます。
しかし、中には接種から24時間以内に死亡するようなケースも報告されている。
中でも政府が神経をとがらせているらしいのが「コロナワクチンを打つと流産する」「不妊症になるらしい」といった風説で、閣僚から率先して火消しに当たっているようです。
ただ、申し訳ないけれどあまり説得力がない。
無理もない話で、俳優も政治家もレクチャーされた原稿を読むだけなので、科学的な事柄で、自分の信念に基づく言葉を期待する方が無理筋です。
ここではまず「ワクチン接種」で流産が起きるとか、妊娠しにくい体質になるといった統計的なデータはないことを、最初に強調しておきましょう。
しかし、役所から開示されるデータの改竄に慣れてしまった日本社会には「データがない」と言ってもあまり説得力がありません。
そこでまず、このワクチンの源流探訪から、筋道を立ててお話ししたいと思います。
ワクチンはどこからやって来た?
そもそも、ワクチンとは何なのでしょうか。系統だったワクチン接種は225年ほど前、イングランドにさかのぼります。
人類は長年、バイキンによる病気のほか、ウイルス性の疾患にも悩まされていました。その一つとして「天然痘」が挙げられます。
天然痘は「天然痘ウイルス」によって引き起こされる病気で「疱瘡」「痘瘡」などとも呼ばれ、遠く古代エジプト、ピラミッドに葬られたファラオのミイラにも、特徴的なできもの「あばた」の跡が発見されています。
日本でも記録に残る限り平安時代以来、多くの症例があったと思われます。致死率20~50%、凄まじく悪性の病気で、運よく完治しても全身に「あばた」の跡が残り、罹患者は差別の対象になったりもした歴史があります。
中国や西アジアでは古代から、天然痘患者の患部から「膿」を取り出し、それを健康な人に接種して軽度の天然痘を起こさせると重症化しない事実が知られていました。
「人痘法」と呼ばれ、日本でも天然痘患者の「かさぶた」を粉末にして鼻から吸引するなどの方法で免疫をつけさせる民間療法が普及していました。