新型コロナの病原体が「ウイルス」で決して「コロナ菌」ではないという事実を軽く考える人は、いくつかの水準で、新型コロナの感染率や感染した場合の発病率、発病後の重症化率を明らかに上げてしまうリスクがあります。
こうした基本的な区別を軽視するということは、「ウイルス」や「公衆衛生」「予防医学」などに関する基礎的なリテラシーが不足しています。
時々刻々、「どうせ大丈夫だろう」という、脇の甘い、結論ありきの楽天的な「対策」で、自らリスクを高めてしまうことが、ほぼ確実に予見されるからです。
脇を締めた対策と、脇の甘い対策の対照例としては、この春先の英国や米国のワクチン接種と、日本でのそれを比較してみると、残念な結果が明らかです。
つまり、英国も米国も、ひとまず「2020年型」の抑え込みには成功した時期に、日本では、特に関西圏が顕著でしたが、感染力が強まった変異種への「置き換わり」も手伝って、春先の暖かくなる時期以降、季節性のインフルエンザであれば流行しない谷間の時期に大きなピーク「第4波」を作ってしまった。
目に見えない病原体を「大丈夫だろう」と侮ると、ろくな結果になりません。
「バイキン」よりもウイルスが「1000分の1も小さい」「体積なら10億分の1以下」などと指摘しても、「それがどうした」と思考停止する人と、「あ、それなら・・・」と今後発生しうるポテンシャル・リスクを念頭に対処する「かもしれない」防疫を工夫する人との間では、感染「する」「しない」あるいは感染後「発病する」「しない」さらに「重症化する」「しない」を隔てる、いくつもの分かれ道が存在します。
それを考えてみましょう。
三密より恐ろしい「病原体密度」
まず、前回も最初に記したように、新型コロナを含む「ウイルス」は、細菌より長さにして1000分の1も小さい、水に溶ける粒子、正確には「遺伝子がカプセルに入った<分子>」で、独立した生命体ではありません。
百聞は一見にしかずといいますから、図を描いて説明しましょう。
ウイルスはバイキンの1000分の1サイズ、体積なら10億分の1オーダー