(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
東京オリンピックまで、あと50日と迫ったところで、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、現状での開催に懸念を打ち出している。
政府が任命した専門家の意見、厚労大臣がまともに受け取らず
「今の状況で(オリンピックを)やるのは、普通はない」
「何のために開催するのか明確なストーリーとリスクの最小化をパッケージで話さないと、一般の人は協力しようと思わない」
2日に衆院厚生労働委員会でそう断言すると、続けて翌3日の参院厚生労働委員会では、
「オリンピックは普通のイベントと規模も注目度も違う。人の流れが生まれる。スタジアム内の感染対策だけを議論しても意味はない」
「ジャーナリストやスポンサーら大会関係者がプレーブックを遵守してくれるのか。選手より懸念があるのは専門家の一致した意見だ」
ときっぱり。さらに翌4日の衆院厚生労働委員会では、
「お祭りムードになって普段会わない人と飲み会をすると、感染者、重症者が増え、死亡者が出てくることもあり得る」
とまでした上で、こう宣言している。
「感染リスクについて近々、関係者に考えを示したい」
これに対して、田村憲久厚生労働大臣は、
「自主的な研究成果の発表という形で受け止める」
と、言ってのけた。政府の対策分科会の会長の見解を正面から受けとめない姿勢だ。