目下、新型コロナの新規感染者数が過去最高を更新し続けているマレーシアだが、ついに人口当たりの感染者数で、あのインドを上回る事態になってしまった。こうした事態を重視したムヒディン首相は5月28日、6月1日から14日までの2週間、マレーシア全土に大規模なロックダウン(都市封鎖)措置を講じる方針を明らかにした。
全土にわたるロックダウンでは必要不可欠な経済活動、社会サービスを除くすべての社会・経済活動が禁止されるという思い切った対策となっている。それだけムヒディン政権が急速な感染拡大に相当の危機感を抱いていることの表れと言える。
経済界などの反発でロックダウンに踏み切れずに「お願いベース」のまん延防止等重点措置や緊急事態宣言で徹底的なコロナ感染防止対策に踏み切れない日本と比べると、まさに「思い切った」対応策と言えるが、この強い措置がどれだけ効果をもたらすのか、注目されている。
「断食月」明けに感染者増加のピッチ上がる
マレーシアでは5月12日に終わったイスラム教の重要行事である「断食月」を祝うレバランの大祭が5月13~14日に各地で行われ、この際にイスラム教寺院であるモスクや帰省先で親族が集まる家庭などでいわゆる「三密状態」が出現したとみられている。
その影響かどうか科学的な裏付けは示されていないものの、5月29日には一日当たりの新規感染者数が9020人と、前日28日の8290人を上回り、5日連続で過去最高を記録する状況が続いている。これで合計感染者数は約55万人となり、感染死者数の合計は2550人を超えている。
地元メディアなどの報道によると、新感染者が急増した結果、人口100万人当たりの7日間の平均新規感染者数は5月26日の時点で211人となり、インドの165人を大きく上回る深刻な状況となっている。