米アップルのアプリ配信サービス「App Store」を巡り、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズが反トラスト法(独占禁止法)違反で訴えた裁判で、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)が5月21日に初めて出廷した。米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが同日に報じた。
クックCEO「独占にはあたらない」
エピック側は「不当に競合アプリを締め出し、桁外れに高い手数料を徴収する決済システムの利用を義務付けている」と訴えている。
約4時間に及んだ証言でクックCEOは、独占にはあたらないとの主張を繰り返し、「すべてのアプリを厳正に審査し、一部の新規登録やアップデート版の配信を拒否しているが、その理由は利用者を不正行為から守るため。安全性の確保やセキュリティーの強化、利用者のプライバシー保護はアップルのサービスの大原則だ」などと述べた。
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アップルはApp Storeの有料アプリに対して原則30%の手数料を徴収している。アプリがアップル以外の決済システムを利用することを認めていない。アプリ企業は別途ウェブサイトなどで自社決済サービスを設置することが可能だ。だがアプリ内にリンクを設けたり、アプリ内で告知したりすることは禁じられている。また、スマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」などのアップル製機器向けのアプリをApp Store以外で配信することも禁じられている。
証言の終盤で、連邦地裁のイボンヌ・ゴンサレス・ロジャーズ判事は、アップルがゲームアプリ開発会社から得ている金額は、アップルが提供している技術と比較し「不釣り合いに見える」と指摘。判事は「アップルの決済システムは競争に直面していない。アップルがゲームアプリを紹介し、その見返りに手数料を取るとの主張は理解できる。しかしアップルは、アプリ企業が一度獲得した顧客を対象に、毎回手数料を取っている」とも指摘した。
これにクック氏は反論。「App Storeには数多くの無料アプリがある。それらのアプリが多くの利用者を引き付けており、ゲーム開発者はその恩恵を受けている」とし、自社事業モデルの正当性を主張した。
また判事はクック氏に「ゲームなどの利用者に安価な選択肢を提供することで、アップルに何らかの問題が生じるのか」と質問した。
これに対しクック氏は、「彼ら、彼女らには多くの選択肢がある。市場にはさまざまな種類のAndroidスマホが売られている」と述べた。この発言についてウォール・ストリート・ジャーナルは、「エピックのゲームがAndroidスマホやパソコン、ゲーム機向けに配信されており、それらのプラットフォームも同様の手数料を取っているとのアップルの主張に基づくもの」と報じている。