米アップルは5月11日、アプリ配信サービス「App Store」における外部企業アプリの審査状況について詳細を明らかにした。
「15億ドルの不正取引防止」
同社の基準に満たず新規登録を拒否したアプリは2020年だけでも約100万本に上ったという。リスクのあるアプリをサービスから排除することで、1年間で15億ドル(約1600億円)以上の不正取引から消費者を守ったとしている。
アップルはアプリ審査のガイドラインを設け、プライバシーやセキュリティー、スパム(迷惑行為)に関する規約を満たしているかどうかを確認している。
20年に登録申請のあった新規アプリのうち約100万本に問題があったという。またアップデート版配信の申請があったアプリのうち約100万本に同様の問題があり、これらの登録を却下したりApp Storeから削除したりした。
最も多かった例は、必要以上の個人データを収集し、その利用法を誤っていた「プライバシー侵害」。これを理由に配信を拒否したアプリは約21万5000本以上に上った。また、「スパムや模倣、誤解などを招く恐れがある」は15万本以上。「隠された機能や、文書化されていない機能がある」は4万8000本以上だった。
アップルによるとアプリの中には審査を通過した後、機能を変更して禁止行為や犯罪行為を実行しようとするものもある。同社が20年に削除した約9万5000本のアプリのほとんどで、こうした手口が使われていたという。
また、不正行為や詐欺行為が疑われる47万件の開発者アカウントを停止し、20万5000件の新規アカウント申請を拒否した。
App Storeに対する批判かわす狙い?
アップルは今回の発表でアプリ審査の意義を強調した。「プライバシーは消費者の基本的権利だ。不正行為によって利用者の重要な情報が悪用されないようにするため、莫大な経営資源を投じている」とし、「約180万本のアプリをダウンロードできるApp Storeは、業界最高水準の不正防止策によって、最も安全なアプリ配信サービスとして認められている」と説明した。