米アップルは11月18日、一定の条件を満たす企業に対し、同社のアプリストア「App Store」でのアプリ販売・課金手数料をこれまでの30%から15%に下げると明らかにした。
2021年1月1日に始める中小のアプリ事業者向けプログラムへの加入資格を持つ企業が対象だという。条件とは2020年にApp Storeから得た収益の合計が100万ドル(約1億400万円)以下の企業。2021年から新規にアプリ販売を始める事業者も減額の対象になるとしている。
また、2022年以降も前年の収益が基準額に満たない場合、引き続き軽減措置を受けられるという。
アップルがApp Storeを立ち上げたのは2008年。同社はそれ以降、手数料に関して明確な指針を示してきたが、今回のような措置は異例だ。
ゲーム大手や米議会がアップルを批判
その背景には、App Storeの商慣行が独占的で、手数料が高すぎるとの批判の高まりがあるようだ。米ウォール・ストリート・ジャーナルは、今回の措置は批判をかわす狙いがあると報じている。
アップルは音楽・動画配信や電子書籍、ゲームなどの「デジタルグッズ・サービス」で、開発者やサービス運営企業に自社の決済システムを利用するよう義務付け、それらの課金に対し手数料を徴収している。
例えば、有料アプリやアプリ内課金の場合、アップルの取り分は販売額の30%、アプリ内のサブスクリプション型サービスは、1年目が同30%で、2年目以降が同15%。
しかし今年8月、この手数料が法外だとして、米人気ゲーム「フォートナイト」開発元エピックゲームズがアップルを提訴した。
発端はエピックがアップルの課金を回避する独自決済システムを導入したことにある。これを受け、アップルはフォートナイトを配信停止にする措置を取った。その後アップルはエピックの開発者としてのアカウントも停止。ゲーム開発ソフトを除くすべてのエピック製アプリの配信も停止した。これに対しエピックは「App Storeは独占的だ」と非難した。
一方、アップルは9月、「エピックはApp Storeから莫大な価値を得ており、アップルの課金を回避するシステムの導入は契約違反だ」とし、損害賠償などを求めて反訴した。