アップルのアプリストア「App Store」のアイコン(写真:AP/アフロ)

 米アップルが、スマートフォン「iPhone」などのアプリ内で開催される有料のオンラインイベントなどのサービスに対し、手数料を徴収しない措置を取ると、米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが9月25日に報じた。

20年末までの限定措置

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で対面式のイベントを開けない企業に配慮した措置で、今年(2020年)の年末までの期間限定。これにはイベントのほか、オンラインの料理教室といった授業形式のものも含まれるという。

 アップルがアプリストア「App Store」を立ち上げたのは2008年。同社はそれ以降、手数料に関して明確な指針を示してきたが、今回のような措置は異例だとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。

 アップルは音楽・動画配信や電子書籍、ゲームなどの「デジタルグッズ・サービス」で、開発者やサービス運営企業に自社の決済システムを利用するよう義務付け、それらの課金に対し手数料を徴収している。

 例えば、有料アプリやアプリ内課金の場合、アップルの取り分は販売額の30%、アプリ内のサブスクリプション型サービスは、1年目が同30%で、2年目以降が同15%となる。ちなみに米ベストバイや米ターゲット、ユニクロなどの「物販」や旅行や配車サービスなどの「物理的サービス」などのアプリでは手数料を取っていない。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米フェイスブックは今年8月、自社のアプリで有料イベントを開催できる機能を提供し、アップルに手数料の免除を求めた。しかし、この時点で同社は要求を拒否したという。今回アップルが期間限定ながらも要求を受け入れた背景には、同社のアプリストア運営方針に対する批判の高まりがあるようだと、同紙は伝えている。