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〈(前略)予備調査委員会による調査を行った結果、告発により指摘された研究活動に係る不正行為の疑いがあることについては確認できなかったため、同規程に定める本調査を実施しないことと致しました〉(中京大学・研究倫理委員会/2020年11月30日付け)

 昨年7月から6回にわけて告発してきたフリージャーナリストの三宅勝久氏のもとに届いた「通知書」には、わずか5行の調査結果が記されていた。これは前回配信の「前編」で詳報した同大学・国際教養学部の大内裕和(おおうち・ひろかず)教授の“盗用疑惑”に対する大学側の結論だが、この文書だけでは疑惑を否定した理由がさっぱりわからない。

(前編)まさかあなたが――「弱者の味方」有名教授 にパクリ疑惑発覚
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65394

このまま「お咎めなし」なのか

 冒頭で触れた通知書の後半に出てくる〈同規程〉とは、2019年4月に制定された同大学の「研究活動及び研究費の取扱いに係る不正防止及び不正行為への対応に関する規程」のことで、この規程では盗用も研究活動に係る不正行為と定めており(第2条)、予備調査の結果を踏まえて倫理委員会が本調書を行うか否かを決定する(第20条)としている。

 つまり、同大学の不正調査は、予備調査→本調査という段階があり、前段の予備調査で不正行為が認定されなければ本調査(懲戒や刑事告発などの処分がある)の扉は開かれない。大内教授の「盗用疑惑」については大学の予備調査で“シロ判定”されたため、このままいけば一切のお咎めなしとなる。