写真:gettyimage(イメージ)

――著者「今は、もう関係を改善したいとはA子さんは思っていないですか?」
相談者(妻)「はい」
著者「どうなったらいいなと思っていますか?」
相談者(妻)「このままの状態で何十年も一緒に居たいと、今は思わないです。彼は彼で幸せになってほしい。
著者:「今は」とおっしゃいましたけど、以前は違いましたか?……

 実際の具体的なカウンセリングから夫婦、そして自分の人生をよりよいものにしていく過程が綴られた『夫は、妻は、わかってない。』。

 2000組以上の夫婦をカウンセリングしてきた夫婦カウンセラー・安東秀海氏よる著書は、「夫に早くあの世に逝ってほしい」「夫婦との会話にウンザリする夫」など、夫婦が直面する問題について取り上げている。

 「エア離婚」という言葉を生み出し、夫婦について綴るエッセイが話題を呼ぶタレントでエッセイストの小島慶子さんが本書を通して見つめ直した夫婦の「関わり」、そして「関係の立て直し」とは?

 夫婦はいろんな問題がむき出しになる関係

小島慶子さん(タレント、エッセイスト) 撮影=河内彩

 人には言えない夫婦の悩み。

 もちろん私にもありますとも! よそのご夫婦のカウンセリングの記録には、身に覚えのあるフレーズやエピソードがたくさん出てきます。読みながら密かに胸を撫で下ろしました。

 ときに荒んだ気持ちになるのは自分だけじゃないのね、と。どうも私の周囲だけなのか、こと夫婦関係の話になると語気の荒くなる女性が多い。みんな色々悩んでいるのです。

 夫婦って、いろんな問題がむき出しになる関係ですよね。こんがらがった糸をほぐすには、傷ついている自分や、時には相手を傷つけている自分と向き合わざるを得ないこともあります。

 ここに出てくる夫婦たちの会話は、ごくありふれたものです。はいはい、あるあるな夫婦喧嘩。

 でもそこにカウンセラーが介入することによって、言葉の奥にある問題がくっきりと浮かび上がってきます。興味深いのは、素人目にはもう別れた方がいいよと言いたくなるような夫婦でも、実はうまくやりたいと考えていること。本当はうまくやりたいのにそうできないから、腹を立てているのです。

 別れたいと思っている時も、もしかしたら「相手が今のままなら」という条件付きかもしれません。