ポッドキャストアプリ画面(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米アップルとアマゾン・ドット・コムが突如として、高音質の音楽配信サービスで競い始めた。有料会員数で業界トップのスポティファイ・テクノロジーも同様のサービスを準備していると報じられている。この市場で利用者獲得やつなぎ留めに向けた動きが激しくなりそうだ。

6月に高音質楽曲を配信

 アップルは5月17日、有料音楽配信サービス「Apple Music」で高音質のロスレスオーディオ形式と、米ドルビーラボラトリーズの「Dolby Atmos」形式の空間オーディオの楽曲を配信すると明らかにした

 2021年6月より、同サービスで配信している7500万曲以上の全楽曲をロスレスオーディオで、数千曲を空間オーディオで提供する。追加料金は取らない。

 ロスレスのレベルは16ビット/44.1kHzのCD品質から最大24ビット/48kHzまで。「設定」の「オーディオの質」をオンにしてレベルを選択する。また、外部装置を使用すれば、最大24ビット/192kHzのハイレゾロスレスも再生できるとしている。

 一方、空間オーディオの楽曲は、H1チップやW1チップを搭載したAirPodsとBeatsのヘッドフォン、またはスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」、パソコン「Mac」の最新機種の内蔵スピーカーで自動的に再生する。対応楽曲は順次増やしていくとしている。

アマゾンが即日対抗、高音質版にアップグレード

 アップルの発表を受け、アマゾンがさっそく対抗策を打ち出した。同日、有料音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」の加入者に対し、追加料金なしで高音質サービス「Amazon Music HD」を提供すると明らかにした

 米国やカナダ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの加入者は同日より無料で高音質版にアップグレードできるとしている。

 Amazon Music HDはこれまで、月14.99米ドルの通常料金(日本では1980円)と、月12.99米ドルのプライム会員向け料金(日本では1780円)を設定。標準音質版の5ドル増しで提供していた。今後は9.99ドル(プライム会員は7.99ドル)で提供する。