(写真:フェイスブックHPより)

 フェイスブックのアプリ部門トップのフィジー・シモ氏によると、同社が先ごろ発表した音声SNSは一時的なブームに乗ったものではなく、これまで何年もかけて開発してきたものだという。

フェイスブック、21年に音声サービス続々

 米CNBCとのインタビューで同氏が説明した。

 フェイスブックは21年4月19日、音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」の競合サービスとなる「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」を開発中だと明らかにした。今夏にもフェイスブックのアプリや対話アプリ「メッセンジャー」内ですべてのユーザーに提供するとしている。

 「クラブハウスの成功を参考にして対抗サービスを発表したのか」との問いに対し、シモ氏は「我々は長い期間、音声(サービス)を検討していた」と述べ、「ライブオーディオルームは何年もかけて開発してきた」と付け加えた。

 同氏によると、フェイスブックはサービスの技術基盤としてAI(人工知能)を使った音声機能を開発していたという。例えば、利用者が海辺や川辺にいるかのような音響効果を作り出したり、エイリアンのような声に変換したりすることが可能だとしている。また、「空間オーディオ」技術も開発しており、利用者同士が1つの部屋にいるかのような臨場感を出せるのだという。

 フェイスブックは4月19日に、短尺の音声コンテンツをニュースフィードに投稿する「Soundbites(サウンドバイツ)」や、アプリ内のポッドキャスト(音声番組)機能も発表した。

 このうちサウンドバイツは、著名人などがエピソードや笑い話、詩の朗読といったコンテンツを投稿できるようにするというもの。同社は「オーディオクリエーター基金(Audio Creator Fund)」を設立し、これを通じてクリエーターを資金面で支援することも明らかにしている。いずれも数カ月以内に始める予定だ。

 ポッドキャストのサービスでは、ユーザーが興味を持つ番組を探しやすくし、アプリ内で聴取したり、友人にシェアしたり、コメントを付けたりできるという。米メディアは、フェイスブックがスウェーデンのスポティファイ・テクノロジーと連携して、この機能を導入すると報じている。

「通信手段は一巡して音声に」

 米ウォール・ストリート・ジャーナルは、こうした「ソーシャル・オーディオ」とも呼ばれるネットサービスについて、「我々は一巡して音声に戻りつつあるようだ」と報じた。かつて電話が主流だったコミュニケーション手段は、メールやテキストチャットに取って代わった。だが、ここ最近の勢いを見ると、いつでもどこでも利用できるソーシャル・オーディオは、SNSの次のフロンティアとなる可能性があるという。