衝撃を与えたアトランタ韓国女性殺害事件
2021年3月、南部ジョージア州アトランタ市近郊のコリアン・マッサージ店3軒を襲い、韓国系女性6人を含む8人を射殺した白人男(22)が5月11日、「ヘイトクライム」(憎悪犯罪)で起訴された。有罪になれば死刑。
これらマッサージ店は「隠れ売春宿」だったといううわさもあった。
被告は店の常連客。捜査当局には「自分は性依存症でそれを断ち切るためにコリアン・マッサージ店で働く従業員を皆殺しにした」とヘイトクラムを否定し続けていた。
熱心なエバンジェリカルズ(キリスト教原理主義者)だった。
仏教の「四十九日」には、韓国系女性被害者のため、ロサンゼルスの東本願寺別院で同市にある全仏教寺院の「輪番」350人が一堂に会して法要が行われた。
アジア系米国人にとっては中国系も日系、韓国系もない。今や「一つの塊」なのだ。「輪番」たちはアジア系に対するヘイトクライムの根絶を全世界にアピールした。
(https://www.nytimes.com/2021/05/05/us/asian-american-attacks-buddhism.html)
米国には潜在的なアジア系蔑視・偏見が根強く生きている。
それが2019年の中国・武漢が発生源とされる新型コロナ禍を受けて表面化した。中国への怒りは、米国内の中国系、アジア系全体へ向けられたのだ。
ドナルド・トランプ大統領(当時)自らが「チャイナ・ウイルス」「カンフルー」と囃し立て、保守系メディアはコロナ禍イコール中国、中国人と書き立てた。
トランプ氏のレトリックをまともに受け入れた米一般大衆は、不平不満を中国系、アジア系にぶつけたのである。
知識層はともかくとして一般大衆は中国系、(非アジア系、特に白人には外見では中国人か、日本人か、韓国人か見分けがつかないために)全アジア系への嫌がらせ、脅迫、暴行に走った。
前述のようにアトランタで殺されたのは韓国系だった。