自らの支持率の下落や先のソウル・釜山市長選挙で大敗したことへの焦りなのか、自身を批判する国民に対するいら立ちなのか──。ある30代の男性が文在寅大統領を批判するビラを作成、散布したことで起訴されることになった。
韓国の主要メディア中央日報が4月29日に出した記事によると、2019年に文大統領を批判したビラを作成し、ソウルの国会前で散布した保守派青年団体「ターニングポイント」代表のキム・ジョンシク氏(34歳)が「侮辱罪」で起訴された。
記事内ではキム氏の証言も紹介されている。「誰が告訴をしたのか?」とキム氏が聞いたところ警察側は、はっきりしたことは言わず「誰だかわかるだろう」という旨の発言をしていたという。
同記事では男性に適用された「侮辱罪」は韓国の刑法上、親告罪にあたり、告訴は文大統領本人か、文大統領に委任された者が告訴できるということ指摘している。このため、断定はできないものの、文大統領が告訴に関わっているという見方が強まり、波紋を呼んでいる。
この件に関して、野党「国民の力」のファン・ギュファン議員は「民主主義は消え文主主義だけが残った」と語った。文大統領はマスコミの取材や宗教関係者との対談で、「国民には大統領を批判する権利もある」と述べている。にもかかわらず、実際に批判した人間を告訴するというのは子供じみているという指摘だ。
今後、文大統領から何らかの発言があるのか、キム氏の処遇はどのようになるのかが注目されるところだ。この件以外にも現在の韓国では「表現の自由」が危惧されるような事態が起きている。