「処理水」放出の是非は「希釈次第」
さて、以下では建設的な内容を検討します。まず基本から整理してみましょう。
福島第一原発は事故後も溶融した状態で発熱を続ける炉心の残骸を冷却し続ける必要があり、水を注入して廃熱を取り除いています。
この冷却水や、原発に降る雨水などは放射性物質を含んだり、水自身が放射活性を帯びたりすることで「汚染水」となります。
こうした「汚染水」は、安全な廃炉作業に向けて福島第一原発跡地を管理していく上で必然的に発生しますし、ひとまずはタンクに貯めるという「問題の先送り」で対処しました。
しかし、現実に廃炉作業を進めるには、いつまでもこんなに大量のタンクの水を敷地内に温存しておくことができません。
これを「浄化」するのに導入されたのが、東芝が納品したALPS「アルプス」という名称の「多核種除去・水浄化装置」でした。
これによってセシウムやストロンチウムなど、重金属などほとんどすべての放射性物質を取り除いた水を作ることができます。
しかし、この「アルプス」というネーミング、何とかならなかったのでしょうか。
正確には「Advanced Liquid Processing System」、つまり単に「進んだ液体処理装置」というだけの名前ですが、本稿準備で相当多くの資料に目を通しましたが、アルプスが何なのか記されているものを見つけることが当初はできませんでした。
というのも、この装置の納品は2012年10月で、古い資料からやっと見つけたのが「進んだ装置」。
これに対して「アルプスの天然水」ではありませんが、「アルプス処理水」云々という政府関係資料が延々続き、クリーンなイメージを作りたかったのかもしれませんが、まさに悪趣味な広告代理店的ネーミングで、率直に言って辟易させられました。