4月5日付の東京大学本部広報課から、4月1日付で総長に就任したばかりの藤井輝夫教授が新型コロナウイルスに感染、PCR検査で陽性反応が出たことが発表されました。
(https://www.u-tokyo.ac.jp/covid-19/ja/policies/COVID-19-message-20210405.html)
東京大学は、よくこの発表をしたと思います。どのようなプロセスによる「勇断」であるかは定かに知りませんが、「英断」と言ってもよいでしょう。
2020年春から、東大学内では学生、教員の感染が相次ぎ、私の身の回りでも感染者が出ましたので、遠隔隔離など徹底しています。
そういうところで判明した感染者の個人名などは決して報道されませんし、またされるべきでもないと思います。
今回の藤井先生については、大学から時差なく、PCR検査でポジティブと出た直後に都内病院に入院隔離、濃厚接触者などについては「調査中」とのことですが、「保健所と連携を取りながら感染拡大防止策を適切に行う」と先ほどのホームページ(https://www.u-tokyo.ac.jp/covid-19/ja/policies/COVID-19-message-20210405.html)に出ています。
本稿の結論は、わが国の学の中枢として、個人情報などには細大の注意を払いながら、東京大学学内での感染を詳細なケーススタディとして社会に情報公開するとともに、キャンパスに通勤通学する学生・教職員にも、適切で徹底的な当事者説明に基づく「再発防止」に全力を挙げるべきことを、東京大学一教官でもある筆者の立ち位置から、建設的な観点で広く学内外社会に、問題提起することにあります。
というのも、私の研究室は現在、本郷キャンパスの「新型コロナウイルス発熱外来」の所在する棟にアサインされているからです。
正確には、全学共同利用面積というものに所在していた研究室のあるビルに、発熱外来とPCR拠点が新たに設置されてしまったのに加え、もう一つの実験室がある駒場第二キャンパスは、藤井研究室もある生産技術研究所と同じ校地で、生活面積が完全にかぶっているのです。
学生たちの身体生命の安全を見て、基本、このスペースへの学生の不要不急の出入りを一切なくしました。
幸い2021年4月時点で、我々研究室のメンバーに感染者は出ていませんが、目の前で藤井先生のウイルス感染と発病、隔離という事態となっている。
およそシャレにも何にもない現実に直面していることを先に明記しておきます。