当初のテナント(資料提供:ロサラーンド)
現在のテナント

 それは、建物の骨格が理にかなっていたということだろう。そして、外壁の亀甲パターンは確かに、時代を乗り越える「縁起のいいデザイン」だったのかもしれない。

住友不動産が再開発を後押し

 竣工から52年がたち、登録文化財になってもおかしくない「歴史の証人」だ。しかし、この建物を見られる時間はそう長くはない。

 この建物を含む一帯で再開発の計画が進んでいるからだ。豊島区が2018年3月に公表した「西池袋1丁目21番・37番街区地区まちづくり構想(案)」には、こんな図が載っている。

 上図の黄色く塗られた「文化・娯楽」という部分にロサ会館は位置する。

写真中央やや左にある小道のさらに左側の街区(三井住友銀行池袋支店がある一画)も一体開発される見込み

 2018年3月には西池袋1丁目地区市街地再開発準備組合が発足。敷地の大きいロサ会館はその中心的メンバーだ。地権者は意外に少なく、約20者。話し合いは順調に進んでいるという。事業協力者は住友不動産だ。

 池袋の「歴史の証人」だからこの建物を未来に残そう、とはさすがに私も思わない。「50年以上、ご苦労様!」である。しかし、目に焼き付いたピンク色の亀甲パターンがなくなるのはちょっと悲しい。

 そんなことを話していると、次代を担う知顕取締役がこう言ってくれた。「再開発で建て替わっても、あの外壁の記憶はどこかに残したい」。おお、それは楽しみ。これから設計を担当される方、忘れずにお願いします。

◎本稿は、建築ネットマガジン「BUNGA NET」に掲載された記事を転載したものです。

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