「ロサ会館設計上の特色(清水建設KK)」という部分に真っ先に目が行く。以下、そこからの抜粋。
「三方を道路に囲まれるという立地条件を考え、どの方向からも建物内にスムーズに入れる様、玄関を4ヶ所配置しました」。なるほど、確かにそれはいい判断だった。
「空調設備には特に考慮を払い、室内は年間を通じ快適な状態を保つよう設計されてあります。特に建物の性質上、排気には特別の考慮をしてあります」。窓が少なく、換気が悪く見えそうなことへのアピールか。
しかし、気になっていた「なぜ外装が亀甲パターンのプレキャストパネルなのか」「もともとは何色だったのか」の説明がない。外装についてはこんな書き方だ。
「総合アミューズメントセンターとしてふさわしい豪華な内装と外装で作りあげました」。うーん、もっと具体的に書いてほしかった…。
当初はピンク色ではなかった
季顕社長に「外壁の模様の理由を知っていますか?」と尋ねてみると、「父から聞いた記憶はありません。おそらく亀甲は縁起がいいから、ということなのでは」との答え。なるほど、ひとまずそういうことにしておこう。
もう1つの「もともとは何色だったのか」については明確な答えがあった。
その前に、私がなぜ「もともとの色がピンクではない」と思っているかを説明すると、三浦展氏の本に、このパースが載っていたからである。
少なくとも下部はピンクじゃない!
「下の部分はゴールドっぽい色で、上の部分は薄いベージュでした。ピンク色に変えたのは私なので間違いありません」(季顕社長)。なんと、そうなのか!
インベーダーブーム後に外壁一新
季顕社長がアパレルの会社を辞め、ロサ会館の経営に関わるようになったのは1980年。バブルまっただ中の1989年に、外装を今のピンク色に塗り替えたという。1978年ごろに「スペースインベーダー」ブームで1階のゲームコーナーが大繁盛(ちなみにロサ会館は大規模ゲームセンターの先駆でもある)。100円ゲーム機ブームが終息し、新たな集客のテコ入れ策の1つとして外壁を塗り替えた。「以前の外観は、オフィスビルみたいに地味で、華やかさがなかった」(季顕社長)。そう言って、改修工事前の写真を見せてくれた。