日本は「宇宙利用大国」目指す小国

 日本が「自立した宇宙利用大国」となることを目指し、2020年12月に改訂された宇宙基本計画では、「宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現」を宇宙政策の具体的アプローチのひとつとしている。

 その主な取り組みに含まれているのが「異業種企業やベンチャー企業の宇宙産業への参入促進」だ。内閣府や経済産業省は、民間による宇宙産業振興を目指した取組との連携などを通じ、宇宙ビジネスの事業化を支援すると謳う。総務省も、宇宙産業への新たな参入や関係者間の連携などを促進すると意気込む。

 国がこうした取り組みを掲げるのは、まだ異業種企業やベンチャー企業の宇宙産業への参入が進んでいないことの裏返しでもある。世界には1000超の宇宙ベンチャーがあるが、日本では40社ほどとされる。現在の「小国」感は否めない。

ビジネスの成否はこれから

 宇宙ベンチャー支援への人びとの支持は強い。NTTデータ経営研究所が2020年10月に実施した「宇宙に関する認知度・関心度などについてのアンケート」では、宇宙産業におけるベンチャー企業への支援をすべきかを聞いている。「支援すべきだ」は全体で83.4%。中でも15〜19歳では男性98.2%、女性92.4%と高かった*3

 宇宙ベンチャーの課題も期待もある中、個人消費者向けの宇宙ビジネスは、世界的にも未成熟の状況といえる。まとまった収益が望める国立機関向けや民間企業向けのビジネスに比べると、一般消費者向けビジネスには不確定要素が多く、収益性確保の算段を立てるのは難しそうだ。

コンテストで発表したビジネス像。BtoCとBtoBを組み合わせることで収益化を目指し、地元の事業者との連携を強める考え。(資料:アミュラポ)
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 だが、情報通信技術の発展により、衛星データと地上ネットワークを連携させるプラットフォームは整備されてきている。発想や工夫次第では、地球観測データなどの宇宙由来情報資源から、個人にとっての快適性や娯楽が誕生する可能性はある。

「利用できる情報資源は増えてきている。これら資源と自分たちの知見をもとに、宇宙産業の市場拡大に貢献していきたい」(田中氏)

 ベンチャー企業が踏みだそうとしている「小さな一歩」は、宇宙産業にとっての「偉大な一歩」となるか。成否はこれから決まる。

*1総務省 宙を拓くタスクフォース(第6回) 資料6-5「宇宙産業の市場予測」
*2宇宙基本計画(令和2年6月30日閣議決定)
*3NTTデータ経営研究所「宇宙施策に関する意識調査」