一般財団法人つの未来まちづくり推進機構業務執行理事・山内大輔氏、撮影:松山歓己

 1万人の町、宮崎県都農町でまちづくりを推進する、一般財団法人つの未来まちづくり推進機構(以下、『つの財団』)が、2021年3月、築91年の旧金物店舗をリノベーション、多世代交流サロン『文明|BUNMEI』を開業します。

 まちのみんなで「食」と「未来」を考えるサロンをコンセプトに掲げています。

 約70坪の広さのサロンには、創業希望者のチャレンジカフェ、町の食材で東京の料理家がレシピをつくりオンラインでも楽しめる料理教室、高齢者向けITヘルプデスク、中高生のキャリア相談などを設けます。

 いまの町にない新しいことを楽しみ、学び、持ち帰れる場づくりを目指します。

『文明|BUNMEI』を総合プロデュースした『つの財団』業務執行理事の山内大輔さんに、過疎化が進む町で、新しいことを起こそうとする若者を増やすために必要なことを聞きました。

物質工学で学んだ実験精神

:若者流出が課題の都農町に残った理由は何ですか?

 都農町に残ったのは一言でいえば好きだったから。残るからには地域に貢献する仕事をしたいと思い、町役場に就職しました。

:大学で物質工学を専攻していたそうですが、いま生かせていることはありますか?

 研究室で自分がたてた仮説を、できるんじゃないかと信じて、昼夜問わず何度も実験を繰り返していたことは、「とにかく、やってみる」今の仕事のスタイルにつながっています。

:役場に入って、一番面白かった仕事は何ですか?

 産業振興課に配属されて3年目、僕の提案に、農家さんがうなずいてくださるようになったんです。人の心を動かしていることに自分なりの成長を感じました。

 自分が動いて、何かが起き、誰かに笑顔になってもらえる、それがたとえ1人であっても1万分の1を動かす感覚があり、いまでも最大のモチベーションです。