「最も深刻な競争相手・中国」
「米国の最高の財産・日本」
ジョー・バイデン米大統領が4日、初の外交演説を行った。
その中で中国を「最も深刻な競争相手」(Our most serious competitor)と呼び、日本や欧州諸国を「米国の最高の財産」(Our greatest asset)と持ち上げた。
安倍晋三首相(当時)の巧みな「ドナルド・トランプ扱い」で何とか難を逃れてきた日本はともかくとして、ドイツやフランスといった同盟国は、このバイデン演説を「米国第一主義」からの公式決別宣言と受け止めている。
今バイデン氏の頭の中にあるのは「中国の脅威」にどう立ち向かうか、だ。
短期、中長期的に米国が取り組まねばならないビッグ・アジェンダだ。
トランプ氏の中国に対する憤りをむき出しにした過激なレトリック。自ら仕掛けた「米中貿易戦争」での関税引き上げ競争。
そんな近視眼的な小手先のサル知恵では根本的な問題解決の糸口は見い出せない――これは米国のエリート外交安保政策立案集団の総意だった。
相手は手ごわい、「孫子の兵法」の国だ。
バイデン政権発足前から米国には堰を切ったように対中国戦略論が飛び出している。
トランプ前政権で対中政策立案に携わってきた外交安保担当者がまず動いた。トランプ政権で冷飯を食っていた外交専門家の一人はこう漏らしている。
「われわれは、水面下で密やかに対中戦略を練ってきた。問題はドナルド・トランプとかいう大統領が我々の分析には一切見向きもしなかっただけだ」
その物的証拠が、米国家安全保障会議(NSC)が2021年1月に解禁した極秘メモランダム「U.S. Strategic Framework for the Indo-Pacific」(インド太平洋地域における米国の戦略的枠組み)だった。