無観客の規制は緩和されたものの観客はまばら。チアリーダーもマスクを着けての応援(2020年7月26日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 2021年1月25日、新型コロナウイルス感染症の流行で何となく明るいニュースが少ない韓国のスポーツ界を驚かせるニュースが駆け巡った。

 流通大手、新世界グループが、SKグループからプロ野球球団を買収するという内容だった。

 ベテランスポーツ記者も「つい最近まで、全く噂にもなっていなかったディールだった」と悔しがる。いったい何が起きたのか?

 何が起きたのか説明する前に、韓国のプロ野球界の現状について簡単に説明しよう。

1982年、6球団で始まった韓国プロ野球

 韓国のプロ野球は1982年に6球団でスタートした。

 主に、大企業がオーナーとなり、地域フランチャイズ制で運営している。球団数は徐々に増えて現在1リーグ10球団だ。

 2020年シーズンは、新興球団でゲーム関連企業がオーナーであるNCが初優勝した。以下、KT、斗山、LG、キウム、起亜、ロッテ、サムスン、SK、ハンファの順位だった。

 今回、売却が決まったSKは仁川(インチョン)に本拠地を置く。

 2000年にプロ野球に進出してから20年間、2007年以降4回、韓国シリーズで優勝するなど、まずますの成績を上げている球団だ。

 このSKを流通大手の「新世界」が、1353億ウォン(1円=11ウォン)で買収することが決まった。

 関係者を驚かせたのは、韓国のプロ野球も、まさにキャンプに入る直前の時期だったことだ。

 突然の買収で現場は大混乱だ。