滞在3日目の朝、街を散策していて、猫がそわそわしているように感じました。
外に出て、風の音に聞き耳を立て、しきりに匂いを嗅いでいます。
その日の昼下がりのことです、いきなり猛烈な突風が吹きました。人々は慌てるそぶりもなく、窓とドアをピタリと閉めはじめます。土産物店は、「closed」の看板を出したり、シャッターを半分下ろして営業を続けたり。カフェは、外に出していた椅子とテーブルをしまっています。
犬も、家の中にしまわれました。
「ホテルは遠いの? 早く帰ったほうがいいよ」。前日の穏やかな日差しとはうって変わって、突風が吹き、厚い雲に覆われ寒いくらいになったので、言われたとおりホテルへと急いで帰りました。
フロントの人に聞くと、トリニダー周辺特有の気候だそうです。1月下旬から2月初めに毎年、突風の吹く日が来る。埃が舞い上がるので、どこの家もドアも鎧戸もしっかりと閉じて、春の嵐が去るのをただ待つのみだそうです。年に1、2回しかない特別な日だから、観光客としてはラッキーかもねと、話してくれました。
春の嵐は、本当にすごい突風で、バタンバタンと、あちこちの家から扉が叩きつけられるような音が聞こえてきました。こんな日は猫もうちの中で静かにしているでしょう。
前の日に会った子猫はどうしているだろうと、気になりました。生まれて初めての経験だから、怖がってなければいいけど。