(写真はイメージです/Pixabay)

(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)

 かつて中国人の「爆買い」の主役とされた化粧品ですが、新型コロナで訪日客が激減したあおりを受け、2020年の国内市場は大幅な縮小が見込まれています。

 しかし、輸出に目を向けると活況は続いています。中国向け輸出額は2019年までの6年間で10倍超と大幅な拡大を遂げましたが、2020年も前年実績を上回ることが確実で、化粧品は今や日本にとってきわめて重要な貿易商品となっています。

 その中国市場では現在メーキャップ商品の成長が大きく期待されています。また、コロナの影響から、高級化粧品の売行きが高まるといった動きがみられます。

 今回はこうした近年における日本の化粧品の輸出動向と、中国国内の化粧品消費動向について紹介したいと思います。

2015年以降から貿易黒字が拡大

 まず、日本の化粧品の貿易統計についてみていきましょう。下のグラフをご覧ください。

日本の化粧品輸入額・輸出額(2013~2019年)

【本記事は多数のグラフを掲載しています。配信先でグラフが表示されていない場合は、JBpressのサイト(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63415)でご覧ください。】

 財務省貿易統計から引用したデータによると、日本の化粧品貿易は2014年までは輸入額と輸出額がほぼ均衡する状態にありましたが、2015年に輸出額が約471億円を上回って大幅な黒字を出してから、黒字幅が現在も拡大し続けています。2019年の実績は輸出額が5979億円、輸入額が2145億円となり、差し引きの黒字額は3834億円に上ります。