オーストラリア南部クーバーペディの上空で観測された、カプセルの火球の軌跡。(提供:JAXA)

「ただいま。『はやぶさ2』は帰ってきました」

 2020年12月6日に開かれた小惑星探査機「はやぶさ2」の記者会見で、津田雄一プロジェクトマネジャーはこう口火を切った。

「6年間の宇宙飛行を終えて、今朝オーストラリア・ウーメラの地に私たちは玉手箱を舞い下ろすことができました。カプセルは完全な状態。探査機も完全な状態で、次の旅に進んでいます。回収したカプセルを日本に持って帰り、中を開けることがとても楽しみです」

 おかえりなさい。本当に美しく、完璧な帰還だった。そのハイライトと会見の骨子を振り返っていこう。

ウーメラ砂漠に着地したカプセル。ブッシュの横に着地、パラシュートが絡まっていた。(提供:JAXA)

カプセル大捜索

 2020年12月6日2時29分(日本時間)、オーストラリア・ウーメラ砂漠からの夜空に、火球がすっと現れ、力強く南天の星カノープス、ケンタウルス座α星やβ星の傍らを通り過ぎて行った。

 打ち上げから2195日(約6年間)52億4000万kmの旅の末に、リュウグウからのお宝を玉手箱(カプセル)に詰め込み、はるばる地球に持ち帰ってきたのだ。