小学校4年生以降は遠隔授業の方が効果が大きい

 長く続いた安倍晋三内閣から、現政権にシフトしても続投の萩生田光一文部科学大臣ですが、先月時点で、コロナ状況下での教育について「原則として児童や生徒のそばに教員が同席することが必要」という認識(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201009/k10012656321000.html)を明らかにしています。

 これで大丈夫なのか?

 先に結論を言うと、これだとまず100%、2030年の日本はASEAN(東南アジア諸国連合)の後塵を拝するところまで、滑落が危惧されているのです。

 日本の教育は世界に大きく取り残され、2030年時点でかなりまずいことになっているリスクが高い。

 世界の教育は100%「遠隔」標準にシフトしつつあります。

 そんななか、独りIT化が凄まじく遅れた日本は、国内の教育(ならびに教育産業)関係者の利便、ないし単なる怠惰から、百年一日の「対面授業」原則を死守している。

 そして、そうである限り、わが国の初等中等教育に未来はない。

 この具体的な細部をOECDの「Country education responses to the coronavirus (COVID-19) pandemic - OECD」の観点に立って検討してみましょう。

日本の教育の「対面原則」

 コロナ状況下、わが国ではどのような「教育」がなされようとしているのか?

 まず先ほどの文相表現に即して確認してみます。

「学校教育では対面、集団での学びや、リアルな体験を通じて、思考力や判断力、人間性を育てる必要がある」

「一人一人に適切な指導をするためには児童・生徒のそばに教師がいる必要があり、教師がいない指導が対面授業に代替できるとは現段階で考えていない」

・・・「一人ひとりに適切な指導をするためには」「児童・生徒の」ソーシャル・ディスタンスの観点から疑問があっても「そばに教師がいる必要がある」

 このように文相は述べている。「教師が(すぐそばに)いない指導が対面授業に代替できる」とは「考えていない」という。

 これは実は、原則「遠隔授業は正規の授業と認めない」という、旧来の因習を踏襲しているだけのことにすぎません。