(写真:つのだよしお/アフロ)

 救世主は、噂されていた“物言う株主”の村上世彰氏でも、ヤマダ電機でもなかった。経営再建中の賃貸住宅大手「レオパレス21」に救いの手を差し伸べたのは、投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」(以下=フォートレス)だった。

 フォートレスによる支援が決定された9月30日、レオパレスはプレスリリースにおいてその事実をすぐに発表。宮尾文也社長名で発表されたこのリリースには、問い合わせ先として、執行役員で企画部長を兼務するA氏の名前も併記されていた。

 その翌日、レオパレスはやはりプレスリリースで今度は「重要な使用人の人事異動」を発表した。それは経営の中枢を担う経営企画部長の異動だった。

 不思議なことに、人事異動で新任の経営企画部長の名は明記されているが、前任であるA氏の名前はおろか異動先も記載されていなかった。

ファンドの支援決定と同時に銀行出身の幹部が退社

 レオパレスの社員が事情を説明する。

「Aさんは退職したのです。これでレオパレスは、みずほ銀行まで失ってしまったということです」

 どうやら、A氏はフォートレスによる支援発表の直後に退職したようだ。それにしても、A氏の退職とみずほ銀行とどんな関係があるのか。

 レオパレス社員が続ける。

「Aさんは、みずほ銀行出身でした。レオパレスがフォートレスの支援を受け入れたことで、みずほ銀行はレオパレスから手を引いたのです。それに伴って、Aさんも退社したというわけです」

 すでに、レオパレスからはメインバンクのりそな銀行、サブメインだった三井住友銀行が手を引いている。さらにメガバンクのみずほまで去ったということのようだ。主力行が次々去っていくという事態は、それだけレオパレスの経営再建が困難を極めているということの証左と言えるだろう。