(写真:ロイター/アフロ)

 米カリフォルニア州では11月3日、大統領選や議会選挙と同時に住民投票が行われ、米ウーバーテクノロジーズや米リフトなどの運転手らを個人事業主と認める住民立法案が賛成多数で承認された。

ギグワーカーを労働者として保護する新法

 「プロポジション22」と呼ばれる住民立法案は今後、議会での手続きを経て州法になるもよう。これにより、ウーバーなどの配車大手や米ドアダッシュなどの米料理宅配大手は、米国最大の人口を抱える同州で従来通り事業を続けられる見通しとなった。

 発端は、ネットを通じて単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」を従業員として扱うよう求めた州法「AB5(Assembly Bill 5)」。

 ギグワーカーには、福利厚生や最低賃金制度などがない。有給の病気休暇もなく、社会保障や医療保険の会社負担もない。こうした状況を是正すべきとし、カリフォルニア州は今年1月に同法を施行した。

 しかし、ウーバーなどはこれに反発。請負制によって柔軟な働き方が可能になり、ドライバーはそれを望んでいると主張。また、ウーバーとリフトは「当社の事業は運転手と乗客を結び付ける技術プラットフォームの提供であり、旅客運送業ではない」とも主張。運転手を従業員として扱えば、社会保障費などの負担が増え、事業が成り立たなくなるとも主張した。

 州の司法長官などは今年5月、運転手らに労働者としての権利を保障しなかったとして2社を提訴。同州上級裁判所は10月上旬、2社に対し運転手を従業員として扱うよう求める仮命令を出した。2社はこれを不服として控訴したが、同下旬に控訴裁判所が一審の判断を支持。30日以内に従業員として扱うよう命じた。