(平井 和也:翻訳者、海外ニュースライター)

 世界は依然として新型コロナウイルスの脅威にさらされているが、このような緊急事態の中で、国連(国際連合)は一体なにをしているのだろうか?

 米国の超党派組織「外交問題評議会(CFR)」のリチャード・ハース会長(前国務省政策企画局長)が9月10日に、「プロジェクトシンジケート(Project Syndicate)」(チェコ・プラハに本拠を置く論壇サイト)に「国連の不幸な誕生日(The UN’s Unhappy Birthday)」と題する論考を発表した。

 ハース会長の国連の活動に対する評価は手厳しい。以下にその概要を紹介したい。

緊急時に役割を果たせないことが明らかに

 ハース氏は論考の中で、創設から75周年をむかえた国連だが、今年(2020年)は新型コロナウイルスの影響で世界の指導者たちがニューヨークの国連本部に集まって総会を開催することができず、今や国連は、世界が緊急に必要としている国際的な協調を組織・管理する能力のない組織であることがコロナによって露呈した、と述べている。

「国連は、“国際的な平和と安全を維持し”“国家間の友好関係を発展させ”“国際的な問題を解決するために国際的な協調を達成する”という目標から大きくかけ離れている」